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2014-05-14 13:00

太陽光発電

JSTが有機薄膜太陽電池の新しい発電層構造を開発、変換効率2.2倍に

有機薄膜太陽電池
価格低下にも期待
科学技術振興機構(JST)と産業技術総合研究所(AIST)は5月8日、JST課題達成型基礎研究の一環として、有機薄膜太陽電池の開発において、結晶成長技術を駆使することで、吸収した光エネルギーを効率よく電荷に変換し、効率よく電荷を取り出せる理想的な構造の発電層を構築することに成功したと発表した。

同研究は産業技術総合研究所の宮寺哲彦研究員らの研究グループによって行われ、今回開発した方法により、光電変換効率1.85%から4.15%と、約2.2倍の向上を達成した。

今回開発された手法は、様々な有機半導体材料への適用が可能で、有機薄膜太陽電池のさらなる高効率化を実現させることで、フレキシブルで安価な太陽電池の実用化を加速させることも期待できる。

(画像はプレスリリースより)

新手法を開発
有機薄膜太陽電池の発電効率の向上には、発電層を構成する各材料の結晶構造や混ざり方を制御することが重要である。

しかし、従来の有機薄膜太陽電池は、正の電荷を運ぶドナー材料と負の電荷を運ぶアクセプター材料がランダムに混ざったバルクヘテロジャンクションと呼ばれる構造が主流であることから、このランダムに混ざった構造が発電効率向上の妨げとなっていた。

同研究は、III-V族化合物太陽電池でよく使われる結晶成長手法を、バルクヘテロジャンクション構造の有機薄膜太陽電池の作製手法である共蒸着法に初めて適用し、独自の工夫としてビフェニルビチオフェンと呼ばれる材料をテンプレート(鋳型)層とし、その上にドナー材料(亜鉛フタロシアニン)とアクセプター材料(フラーレン)を共蒸着させた。

これによって両材料の混ざり方や結晶性を制御することができ、電荷が効率よく流れる理想的なバルクヘテロジャンクション構造を構築した。


外部リンク

科学技術振興機構 プレスリリース
http://www.jst.go.jp/pr/announce/
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