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2019-08-21 01:00

その他

新電力ネット 2021年度の固定価格買取制度の検討状況を発表

タイナビNS
現状の課題を踏まえた新たな制度
2019年8月15日、一般社団法人エネルギー情報センターは、運営を行う新電力ネットで2021年度の固定価格買取制度の検討状況について情報を公開した。

「特別措置法」であるFIT法には、2020年度末までに抜本的な見直しを行う旨が規定されている。それを受けて同団体は国による検討内容から、2021年度以降のFIT制度における方向性をまとめた。

日本において2012年7月に創設されたFIT制度は、制度創設以降に生じた課題に対して、2017年に改正FIT法が施行され、入札制導入、未稼働案件の防止、適切な事業実施を確保するための事業計画認定制度の創設などの対応が行われてきた。

改正FIT法の成立以降、再エネの導入が更に進展した一方で、依然として、発電コストは国際水準と比較して十分に低減したとは言えず、国民負担の増大の一因となっていると記事で指摘している。再エネ賦課金は年々上昇しており、2019年度の単価(2.95円)は2012年度(0.22円)と比較すると10倍以上になっているという。

2030年度のエネルギーミックス(再エネ導入水準(22~24%))について、これを達成する場合、長期エネルギー需給見通し(2015年制定)では買取費用総額は3.7~4.0兆円程度になると想定しているが、2019年度の買取費用総額は既に3.6兆円程度に達すると見込まれている。

その他既に導入されている電源の調達期間終了後の事業継続や将来的な再投資の停滞や、設備廃棄を含めた責任ある事業実施に対する懸念などの課題が提起されているという。

小規模事業用・家庭用太陽光発電も大きく変わる可能性
上記のような課題解決に向けて、2021年度以降のFIT制度は様々な検討が行われている。

まず、大きな変更点の1つに、大規模案件を中心としてFIT制度廃止が検討されている点が挙げられている。

現状のFIT制度から入札制やFIP制度へ完全に移行し競争を促進すべきとの意見や、出力制御など、発電事業者としての然るべき責務を負うべきという意見から、需給調整市場への再エネ発電事業者の参入を進めるべきとの方向性も見られる。

太陽光発電については、大型案件(500kW以上)は既に入札制度となっており、その他の電源と比較すると一足先に競争原理が導入されている。小規模な案件については、2021年度以降自家消費を促す制度構造になると考えられるという。

小規模の事業用太陽光発電は、需給一体型のモデルで成り立つものを国として支援することが適切だとされ、全量買取ではなく余剰買取となる可能性があるという。

住宅用太陽光発電については、現行では電気料金よりも買取価格の方が高いため、自家消費が少ない方が採算性が高いが、自家消費の方が有利になる制度になると想定される。

また、太陽光発電の事業の集約化が重要であり、そもそも50kW未満については経済的なインセンティブが働かないような制度に変えるべきではとの検討もなされている。

全体として、買取義務やインバランス特例をなくしていき、FIP制度など市場連動型の制度に早期に移行させるべきとされ、地域ごとにFIP制度に移行するなど地域偏在性を踏まえた戦略を行う可能性もあるという。

(画像はホームページより)


外部リンク

一般社団法人エネルギー情報センター 新電力ネット
https://pps-net.org/column/72959

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