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2010-12-07 18:00

その他

「光」で再利用~加熱しないで固体・液体・気体の実現へ

新技術
独立行政法人 産業技術総合研究所(以下、産総研)は、加熱することなく光を照射するだけで、固体から液体へと融解(相転移)し、さらに元の固体状態に戻すこともできる有機材料を開発したことを発表した。

今回開発した有機材料は、一度状態を変えると元に戻せない(不可逆)感光性樹脂と違い、光異性化反応による状態変化であることから、元の状態に戻すことができる(可逆)のが特長となっている。

従来、光異性化反応によって分子の構造(形)が変化する有機化合物については、溶液中では起きるものの、結晶中ではほとんど起きないとされていたが、今回、合成した新規有機化合物は、分子量が1,100~1,700程度で、結晶中でも光異性化反応が起き、融解によって固体状態から液体状態へと変化することが発見されたとのこと。

今後は、この有機材料を大量に合成する手法の確立を目指すとともに、フォトリソグラフィーなどさまざまな応用への可能性を探る予定となっている。

通常、「水」に見られるような、固体(氷)・液体(水)・気体(水蒸気)の状態変化は、熱の移動(温度の変化)によって生じる現象である一方、光を照射することで、物質の状態が変化する材料には「感光性樹脂」がある。

この材料は、光によって液体から固体、固体から液体への変化などが生じ、印刷用の製版やエレクトロニクス分野での微細加工技術などに広く用いられているが、そのほとんどは、光重合反応や光分解反応を利用しているため、一度使用すると元の状態に戻すことができず、再利用できないといったデメリットが残っていた。

工場の諸工程から生じた温水を再利用する取り組みにも見られるように、できる限りの「再利用」が産業活動のそこかしこに散りばめる姿勢が望まれる時代となってきたようだ。この場合の「できる限り」は、現状での限界ではなく、知恵を絞っての改革がおこなわれることが前提となるのは当然であろう。

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独立行政法人 産業技術総合研究所
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