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2013-06-17 14:00

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石油消費国から見た「世界のCO2排出量」 - 2012年は1.4%増で過去最高

CO2排出量
「危機感」はどこまで煽ることができるのか
国際エネルギー機関(IEA)は、2013年6月10日、「World Energy Outlook Special Report 2013: Redrawing the Energy Climate Map」と題した、世界のエネルギーに関するレポートを発表しました。

レポートによると、2012年の世界エネルギー起源CO2(二酸化炭素)の排出量は、1.4%増加し、過去最高の316億トンに達したとのことです。

この機関は、第1次石油ショック直後の1974年に、当時のキッシンジャー米国務長官の提唱を受けて、世界の主な「石油消費国」によって、OECD(経済協力開発機構)の下部組織として作られました。参加するには、OECD加盟国、かつ、備蓄基準(前年の1日当たり石油純輸入量の90日分)を満たすことが条件となります。現在の加盟国は、豪州、カナダ、デンマーク、フィンランド、仏、独、伊、日本、韓国、トルコ、英国、米国など28カ国です。

同機関によると、2012年の世界における、CO2排出量の増加に最も大きく寄与した国は、排出量1位でもある「中国」ですが、ここ10年でみれば“低い伸び”とのことです。また、排出量2位の米国は、“石炭からガスへのシフトにより”、CO2排出量を2億トン減らしたそうです。

なお、日本のCO2排出量は、7,000万トンの増加となっており、レポートでは、その要因として、“エネルギー効率改善への取り組みによっても、原子力発電の減少分を埋め合わせるための化石燃料使用分を十分に相殺できなかったためである”としています。

何かを削り、何かを伸ばし
それぞれの立場で、将来のエネルギーをどう見ているか、よくわかる今回のレポートです。

このレポートにある「米国のガス」は「シェールガス」を指しているのでしょう。このガスは、石炭や石油など他の化石燃料と比べて、二酸化炭素(CO2)の排出量が少ない一方、ガスを採取するために、固い岩盤を破砕する必要があり、その際にメタンなどの成分が地中へと拡散し、周辺の土壌や地下水、河川の水などを汚染する恐れがあるといわれています。また、ガス採掘による「地震」を危ぶむ声も聞かれます。

加えて、シェールガスの利用が増えることで、米国内での石炭の消費は減りますが、その石炭は外国へと輸出されることで、結局地球のどこかで、これまで通り消費されることになります。それぞれが現在の生活レベルを維持したいと思うなら、何かを減らすというより、何に置き換えるかに知恵を絞るべきで、物事の一面だけを切り取った情報に対しては、くれぐれも用心しておきたいものです。

外部リンク

国際エネルギー機関(IEA) プレスリリース
http://www.iea.org/pressreleases/
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