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2012-11-08 11:00

蓄電池

リチウムイオン電池の進化型?

新開発
リチウム電池の「弱点」を改善
独立行政法人産業技術総合研究所(以下、産総研)は、2012年11月5日、固体だけで構成された新型「リチウム-空気電池」を開発したことを発表しました。

「リチウム-空気電池」は、空気中の酸素を電気化学反応に利用して発電する電池のことです。理論的には、リチウムイオン電池の5倍から8倍の重量エネルギー密度が期待できるといわれていますが、従来の「リチウム-空気電池」は、電解質に有機電解液が用いられているため、作製中あるいは製品化の後も、液漏れや揮発、発火といった現象が発生する恐れがあり、実用化へのハードルは高いとみられていました。また、充電時と放電時の電圧差が大きくなるというデメリットも指摘されていました。

今回は、その電解質に無機固体電解質を用いた「リチウム-空気電池」を、設計・構築し、常温・空気中での作動を確認したところ、充電時と放電時の電圧差を小さくなったことを確認することができました。

まずは「電気自動車」へ
つまり、今回作製した電池は、まだ実験の初期段階のため、充電性能や分極などの問題が残ってはいますが、従来の「リチウム-空気電池」が抱えている問題を、一気に解決できる可能性が示されたともいえ、以降、開発を進めていく中で重大な問題が見つからない限り、高い安全性と高エネルギー密度の両立によって、電気自動車用の大型蓄電池への応用が期待されているようです。

今後、同研究所では、リチウムイオン伝導度の高い固体電解質材料の適用などによって、より優れた性能の「リチウム-空気電池」の開発を目指すとのことです。

「リチウム-空気電池」自体、2009年にはその技術が公表されていましたが、3年前と現在では、スマートフォンやタブレットの普及や原発への不信感による「電力」源の模索などを要因として、「電池」の注目度は格段に大きくなっているようです。今回の開発は、現時点で「自動車用蓄電池」が想定されているようですが、異なるサイズへの波及も期待でき、液体でないことから「自在性」には目をつぶってでも、「安全性」を高める努力に期待が膨らむのではないでしょうか。

外部リンク

独立行政法人産業技術総合研究所 プレスリリース
http://www.aist.go.jp/new_research/
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