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アメリカの燃料電池メーカー、ブルームエナジー社（Bloom Energy）は24日、小型冷蔵庫サイズの家庭用発電装置「ブルームボックス（Bloom Box）」発表イベントを行った。まだ設計段階だが、同社によれば今後10年以内に1台で1世帯分の電力を賄える家庭用燃料電池がアメリカの各家庭で見られるようになる。
現地時間21日夜に放映されたCBSテレビのドキュメンタリー番組「60ミニッツ（60 Minutes）」のインタビューで、ブルームエナジー社CEOのK.R.スリダール氏は、ブルームボックスについて、太陽光発電と比べ、確実性の点など環境に優しいエネルギー源としてはるかに優れている製品だと述べた。「太陽は1日中屋根を照らすわけではない。だが、当社のブルームボックスは夜も確実に発電し続ける。」

燃料電池は天然ガスなどの燃料と酸化剤となる酸素などを反応させ、その化学的エネルギーを電気的エネルギーに直接変換する装置である。

ブルームエナジー社は既に数ヶ月前から、グーグル、フェデックス、ウォルマート、イーベイといった大手企業の構内で業務用サイズのブルームボックスを試験運転中。「ブルームボックス・サーバー」と呼ぶ大型サイズ1台で、一般家庭100世帯分、4台で約3250平方メートルのオフィスビル1棟分の電力を供給できるという。

NASAの元エンジニアという経歴を持つスリダール氏は、「1台で1世帯分の電力を賄える小型冷蔵庫サイズのブルームボックスを計画中だ。5～10年以内に発売したい」と番組内で語った。
ブルームボックスの心臓部は固体酸化物形燃料電池（SOFC）である。SOFCは最も効率的な方式の1つとして専門家に広く認知されており、ブルームボックスのセル（燃料電池の基本単位）は、平らなコースターサイズのセラミック・プレートに非公開の特殊コーティングが施されている。

「プレート1枚で電球1個分を発電するが、64枚積み重ねるとスターバックス1軒分のパワーになる」とスリダール氏は述べた。

だが、根本的な課題の1つとして、このセラミックタイルの信頼性を確保が必要との声も。「（タイルは）非常に薄く、稼働可能な温度の範囲も広い。大きな問題は、熱応力（温度変化が原因となって物体内部に起きる歪力）だ」と指摘するのは、スタンフォード大学が母体となったモバイル機器向け燃料電池会社の創設者フィッシャー氏。「さまざまな材質からなるそれぞれの構成部品は、熱せられると異なる比率で膨張する。時間とともに、部品に亀裂が生じる恐れがある」とフィッシャー氏は語った。
各企業で稼働中の業務用ブルームボックスの価格は70～80万ドル（約6300～7200万円）。ブルームエナジー社はイーベイと10年間の保守契約を結んでシステムを管理している。

イーベイCEOのジョン・ドナホー氏は、「7カ月前、カリフォルニア州サンノゼの事業所内に5台のブルームボックスを導入したが、現在ではイーベイの電力需要の約15％を供給しており、10万ドル（約900万円）のエネルギー節約になった」と番組内で述べた。同氏はビジネスニュースサイト「Fast Company」の取材に対し、「3年以内には元が取れる」とも話している。

家庭用ブルームボックスの価格は約3000ドル（約27万円）の予定で、現在流通している一般消費者向けのものよりもかなり低価格になりそうだ。

外部リンク

ブルームエナジー（アメリカ）