2013-02-21 10:00
その他
自然にある鉱物が「熱電発電」を加速する?

自動車や工場の排気よりも「安全」
北陸先端科学技術大学院大学(以下、JAIST)、産業技術総合研究所(以下、産総研)、理化学研究所(以下、理研)は、2013年2月15日、銅と硫黄を含む「テトラへドライト」という鉱物が、400度付近で高い“熱電変換”性能を示すことを発表しています。今回、JAIST研究グループが、これまでに、「テトラへドライト」と似た材料を人工的に合成し、室温付近での高い熱電変換性能を示すことを確認していた成果をふまえて、産総研などとともに「テトラへドライト」を主とした材料による無次元熱電性能の高さを発見しました。
今回の発見により、自然界に存在する銅や硫黄といった「身近な元素」から成り立つ材料を活用することで、熱(温度差)エネルギーを電気エネルギーに変換する“熱電発電”の実現に大きく寄与できると期待されています。
光ファイバーやビーカーよりも熱くなりにくい!
ちなみに、「テトラへドライト」の高い“熱電”変換性能は、ビーカーやフラスコ、もしくは光ファイバーのような、耐熱性を必要とする場面に用いられている「シリカガラス」の半分程度とされる格子熱伝導率の低さによるもので、今回の研究では、その要因が、この鉱物に含まれる要素の異常に大きく振れる原子振動が、熱を阻害するためであることも発見されています。今後、3団体は、「テトラへドライト」の性能を向上させながら、類似構造をもつ物質に関しても材料開発や探索を進めることで、“環境にやさしい”鉱物熱電発電システムの開発により持続可能な社会の実現に貢献できることを目指していくことになっています。
現在、自動車や工場の排気に含まれる「中温廃熱(300度から500度)」の回収や利用は、特に“熱電発電”用途から求められているようですが、その材料に「鉛」などの有害元素が多量に含まれていることから、実用化へのハードルはかなり高かったようです。失敗の体験だけでなく、成功の体験を得る機会にもなる“熱電発電”の可能性は、再生可能エネルギーの選択肢を増やすことにもなりそうです。
外部リンク
北陸先端科学技術大学院大学 プレスリリース
http://www.jaist.ac.jp/news/
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