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2017-06-13 00:00

その他

CO2分離技術を高効率化・低コスト化、京大が新たなフィルターを開発

タイナビNS
CCS技術へ期待、ガス分離膜
京都大学は6月8日、ガスの分離精度を大幅に向上した混合マトリクス膜を開発することに成功したと発表した。二酸化炭素の分離・貯蔵(CCS)技術を高効率化・低コスト化するものとして期待される。

既存のガス分離技術は費用対効果に問題
地球は今、温室効果ガス「二酸化炭素(CO2)」の大量排出という深刻な問題に直面している。世界最大の火力発電所が1日に排出するCO2の量は、ギザの大ピラミッド12杯分。火力発電所の数は今も増え続けている。

そこで注目されるのが、CO2を分離・貯蔵するCCS技術だ。しかし、既存の高分子膜を用いたガス分離技術は、膨大な量の排出ガスを処理するには不向きだった。

これは、ガスの処理速度が遅すぎるか、ガスを分離する精度が低いことが原因。エネルギー効率が悪く、費用対効果の点で問題があった。

ガスの処理量・分離精度を向上しつつコストを削減
今回、同大学高等研究院物質-細胞統合システム拠点(iCeMS)のイーサン・シバニア教授らの研究グループは、MOFというナノサイズの粒子を、PIM-1という高分子材料に適切な条件で添加することで、高分子薄膜の高性能化に成功。

こうして開発された混合マトリクス膜を「フィルター」として用いることで、ガスの処理量や分離精度だけでなく、コスト面においても、CCS技術に革命を起こす可能性がある。コストを10分の1にまで低減することも夢ではないという。

今回の研究は、環境省「CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」と、JSTさきがけ「超空間制御と革新的機能創成」の支援を受けて実施。今後は、産官学一体となって行うプロジェクトの重要性が一層高まるとして、各機関の垣根を越えた連携体制の整備を呼びかけている。

(画像はプレスリリースより)


外部リンク

京都大学 プレスリリース
http://www.kyoto-u.ac.jp/

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